› 立川青風 ブログ › ●職人の営業奮戦記

スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新の無いブログに表示されています。
新しい記事を書くことで広告が消せます。
  

Posted by さがファンブログ事務局 at

2011年11月01日

葛藤

ーーー独立30周年を記念して綴っています。ーーー
 
【職人の営業奮戦記】(2)
・・・独立・・・10 


売ることの難しさをひしひしと感じてきて、弱気の自分と何とかしなければという自分との葛藤が続く。

知り合いのお客さまで何とかなっていたが、いつまでも続くはずがないので早く他で売れる方法を見つけなければならない。

辞めた会社の取引先には営業には行かないことを約束していたので、全く新しいお客様を自分の力だけで探さなければならないので販売方法が見つからず少し焦った。

資金力が無かったのでなおさらだ。

営業関係の本を何冊も読みなんとかヒントを得ようともがいたがなかなかいいアイデアは浮かばない。
  


Posted by 青風 at 08:28Comments(0)●職人の営業奮戦記

2011年11月03日

温泉で閃いた

ーーー独立30周年を記念して綴っています。ーーー
 
【職人の営業奮戦記】(2)
・・・独立・・・11 


ある休みの日に気晴らしに温泉旅館に行き、頭の中を整理してみた。

湯船につかってのんびりはしたが何がどう変わったわけでもなく、湯から上がって地元の物産などが並ぶ売店をゆっくり見て回った。

売店にはいろいろな雑貨が所狭しと並んでいて、湯あがりのお客がわいわいがやがやと品定めをして楽しそうだった。

そのとき、数人の客がべっ甲のアクセサリーを手にとって、「やっぱり九州の土産だったらべっ甲がいいよ」と何個も買い求めていた。

そうだ!とひらめいた。

ここに有田焼のアクセサリーを置いてもらったら売れるのではと。

実際自分が販売している商品の中には有田焼のアクセサリーもあったのですぐにでも実現しそうだった。
  


Posted by 青風 at 08:32Comments(0)●職人の営業奮戦記

2011年11月04日

確信した。

ーーー独立30周年を記念して綴っています。ーーー
 
【職人の営業奮戦記】(2)
・・・独立・・・12 


翌日から早速県内と隣県のホテル旅館の下調べを開始し、客を装ってお土産品売り場を見て回った。

泊まり客として何となく見ているときは気付かなかったことが色々と分かってきた。

お土産品だから地元のものがほとんどだろうと思っていたが、よく見ると文字を変えただけで全国どこにでもあるようなものがたくさんあり、疑問を感じるとともにチャンスでもあると思った。

客の立場になると、そこにしかないものをお土産に買って帰り記念にしたい。

そう考えると有田焼伊万里焼のアクセサリーは最もニーズに合った商品だと確信した。  


Posted by 青風 at 08:21Comments(0)●職人の営業奮戦記

2011年11月05日

看板の重みがわかった

ーーー独立30周年を記念して綴っています。ーーー
 
【職人の営業奮戦記】(2)
・・・独立・・・13 


下調べが終わり、もっとも可能性がありそうなホテルに行き玄関前に立った時、足がすくんでしまった。

こんなに大きなホテルに自分のような、名もない個人を相手してくれるだろうかと心臓がドックンドックンと大きくなるのを感じた。

以前、個人の家に訪問販売をした時も胸がドキドキしたが、今回は相手が大きいだけにそんなもんではなかった。

一度駐車場に戻り建物を見上げ落ち着こうとしたが、大きさに圧倒されてこれがかえってプレッシャーになり、結局その日は玄関を入ることさえ出来ずに帰ってしまった。

作戦は入念に練っていたはずだったが、入口でくじけてしまってはどうしようもない。

情けなかった。

そして、以前勤めていた株式会社○○という後ろにある看板の重み強さに自分がいかに支えられていたか身にしみて分かった
  


Posted by 青風 at 10:53Comments(0)●職人の営業奮戦記

2011年11月07日

商品を見てくれない

ーーー独立30周年を記念して綴っています。ーーー
 
【職人の営業奮戦記】(2)
・・・独立・・・14 


フロントの人と話をするときと、担当の人と話をするときのシミュレーションを繰り返し頭に叩き込み翌日再び挑戦。

「始めまして、私,陶芸タチカワの立川」と申します。

「いらっしゃいませ」

「実は有田焼のアクセサリーを販売していまして、御社の売店にどうかと先ずは商品を見ていただけないかと思い伺いました」

「えっ!」

「担当の方にお取次願いませんか」

「今忙しいからむりだよ」

つっけんどに追い返えされてしまった。

その日は三軒回ったが反応は同じだ。

翌日も二軒回ったがほとんど同じように、フロントのところで断られてしまい商品を見てもらうところまでも行かない。

  


Posted by 青風 at 08:01Comments(0)●職人の営業奮戦記

2011年11月08日

信用がない

ーーー独立30周年を記念して綴っています。ーーー
 
【職人の営業奮戦記】(2)
・・・独立・・・14 


次の日は名刺を出すと同時に、商品も一緒に出して

「このような商品です。御社の売店にはありませんので、ぜひ担当の方に見ていただけませんか」と、

強引に差し出すと、一軒だけ担当者に見てもらうことが出来た。

しかし、「君は実績もないし、ましてや、うちの方も置くスペースもないからむりだね」と断られてしまった。

もちろん一回目でうまくいくなんて考えてもいなかったが、断られる理由が、商品が悪いというものではなかったので望みを持った。

次の日も次の日も、新しい所と一回行って断られたところも回った。

担当者に見てもらうところまでは少しずつ増えてきたが、先へ進まない。

見てくれる人がほとんど若くて、焼き物に興味がありそうもなく、あるところでの衝撃的な返答が「陶芸タチカワなんて聞いたこともないしな」と言われてしまった。

恐れていたことを直接聞いて、腹が立ったがどうしようもない事実だ。

要するに信用が無いのだ。
  


Posted by 青風 at 08:19Comments(2)●職人の営業奮戦記

2011年11月09日

分厚い壁だ

ーーー独立30周年を記念して綴っています。ーーー
 
【職人の営業奮戦記】(2)
・・・独立・・・15 


このまま信用してもらうまで何度も足を運ぶには時間がかかりすぎる。

もうひとつ気になっていたのが、決定権を持った人と会うことが出来ないことだ。

前の会社で商店回りをしているときは、小さい組織なのですぐに店長や社長に会うことが出来たが、会社が大きくなると、先ず対応してくれるのは担当者でも若くて決定権を持たない人ばかりだった。

決定権を持った人に会えないかと思い、あるところで、担当者に言ってみたら、立場をわきまえろみたいな憮然とした顔をされてしまった。

大きく分厚い壁に当たってしまった感じだ。
  


Posted by 青風 at 06:05Comments(0)●職人の営業奮戦記

2011年11月10日

成功は旅である

ーーー独立30周年を記念して綴っています。ーーー
 
【職人の営業奮戦記】(2)
・・・独立・・・16 


上手くいかないことに悩んだり落ち込んだりすることはなかった。

それは、独立する前に出会った一冊の本が支えになっていた。


アメリカの臨床心理学者B・スイートランド著「信念をつらぬく」サブタイトルが「私はやる」この本の“成功は旅である”の言葉に道を案内されて独立したと言っても過言ではない。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
第一章 【成功は旅である】
・・・創造することは生きることである・・・
成功それ自体は精神の満足にはならない。黄金の壺をかかえて頂上に達することは、一時の喜びを与えるかもしれないが、やがてその人は退屈してしまうだろう。創造によって達成することこそ、満足を与えるものなのである。だから、創造的努力によって成功への道に旅立つことは、あなたの計画を実行したその瞬間からあなたの喜びが始まることを意味する。(著書より)
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

今まさに販売の創造をしているわけだから、それ自体が喜びととらえれば苦になることはなかった。
  


Posted by 青風 at 13:09Comments(0)●職人の営業奮戦記

2011年11月11日

履歴書を書こう

ーーー独立30周年を記念して綴っています。ーーー
 
【職人の営業奮戦記】(2)
・・・独立・・・17 


苦にはならないがこのまま何度も足を運ぶだけでいいのか、何かもっと他に良い方法は無いのかしばらく時間をかけて考えてみた。

商品自体をこんなものどうしようもないと言われたことは一度もないから、断られている理由を突き詰めていくと私(陶芸タチカワ)に対する信用だけだと思えた。

若い担当者も株式会社○○という名刺を出したら上司にも取り次いでくれるだろう。

それに代わるものをと、誰か紹介者でもいないだろうかと探したが見当たらない。


あるとき、ふと、就職試験を思い出した。

就職するときは、一人の個人がどんな大きな会社にも挑んでいく。

そして、そのとき必ず持って行くのが履歴書だ。

履歴書というのは個人の信用を測る一つの方法である。

よしこれでやってみようと決断。
  


Posted by 青風 at 12:44Comments(0)●職人の営業奮戦記

2011年11月12日

3通の手紙作戦

ーーー独立30周年を記念して綴っています。ーーー
 
【職人の営業奮戦記】(2)
・・・独立・・・18 


相手が求めてもいない履歴書をどうやって決定権のある担当者に渡すか。

受付に置いていっても渡してくれるとは限らない。

若い担当者も同じ。

ましてや、従業員募集をしているわけでもないので履歴書だけ渡されても相手様は意味が分からないだろう。

そこで、手紙を出すことにした。

普通の手紙ではないので、どのように書いたら相手に自分の思いが伝わるか、図書館あるいは本屋に行って、手紙の書き方を調べたがなかなか自分の考にあてはまる手紙の書き方に行きあたらない。

ところが、本屋で営業関係の本を立ち読みしていたら、“手紙で営業”という文字が飛び込んできた。

そこに書いてあったのはおおよそ次のようなこと。

3通の手紙作戦として第一通目は自己紹介、2通目は自分が今やろうとしていること、3通目がそれに対して相手に何を求めるのか。

この3通を適当な間隔で相手に送るというものだ。

具体的には

①会社名も入れずに全くの個人名で出す。

②封筒は出来るだけ上等のものにする。

③切手は綺麗な記念切手を貼る。

④中は上等の便箋に手書きする。

⑤長くなく短くもなく便箋3枚程度。

⑥直接本人に開封してもらうために“親展”で出す。

⑦出す間隔は相手に届いただろうと思われる日の3日後に次の手紙を届ける。

これらのことを基本に自分の仕事にあてはめて工夫して書く。

まさしくこれだと、心の中で拍手した。
  


Posted by 青風 at 09:57Comments(0)●職人の営業奮戦記

2011年11月14日

1通目の手紙

ーーー独立30周年を記念して綴っています。ーーー
 
【職人の営業奮戦記】(2)
・・・独立・・・19 



拝啓 貴社ますますご清栄のことお喜び申し上げます。

この度は突然のお手紙にて失礼いたします。

大変ぶしつけではございますが先ずは私の履歴をご紹介させていただきます。


■昭和27年佐賀県伊万里市生まれる。
■・・・・

と、まさに履歴書を書いた。

そして最後に、

本日はお忙しい中に私のお手紙に、お目通しいただき誠にありがとうございます。

なお、2通目を後日お送りさせていただきたく存じますのでよろしくお願い申し上げます。

最後になりましたが時節柄お身体ご自愛くださいますようお祈り申し上げます。敬具


おそらく何んだこいつは、自分の会社に就職でもしたいのか?と訝しげに思われるに違いない。

しかし、おもしろい経営感覚を持っている人なら第2通目を心のどこかで期待するだろうと思っていた。

そして、そういう人間とお付き合いをさせていただきたかった。
  


Posted by 青風 at 08:52Comments(2)●職人の営業奮戦記

2011年11月15日

2通目の手紙

ーーー独立30周年を記念して綴っています。ーーー
 
【職人の営業奮戦記】(2)
・・・独立・・・20 



前略失礼いたします。

先日は突然のお手紙で大変失礼いたしました。

本日は重ねて私が取り組んでいる仕事について書かせていただきますのでよろしくお願いいたします。

先日の経歴でおわかりの通り独立して一年もたっておらず大した実績もございません。

しかし、情熱だけは誰にも負けないつもりでございます。

私は有田焼のアクセサリーを主に取り扱っております。

現在の流通は有田焼商社や商人が他の焼き物を販売する片手間に、アクセサリーも取り扱っているのが現状です。

アクセサリーは美しさが命です。

有田焼はその美しさを十分持っていますので、これから必ず売れていくと思っています。

実は、貴ホテルを始め長崎県佐賀県福岡県のホテル旅館の売店を回らせていただいたのですが、有田焼のアクセサリーを置いているところは1軒もありませんでした。

長崎の特産品であるべっ甲のアクセサリーは、すべての旅館ホテルにあり、とてもよく売れていると伺っています。

旅行者にとってアクセサリーは軽くて持ち運ぶのにとても便利だから良いのだとも聞きました。

このようなことを考えると有田焼のアクセサリーも必ず売れると思われます。

私はこれを九州のお土産品にしたいと強く思っています。

商品の写真を一部同封させていただきましたのでご高覧下さい。

本日は最後までお読みいただきありがとうございます。

後日、3通目を出させていただきますのでよろしくお願いいたします。 草々


大体上のような内容を書いたように記憶しています。  


Posted by 青風 at 12:46Comments(0)●職人の営業奮戦記

2011年11月16日

3通目の手紙

ーーー独立30周年を記念して綴っています。ーーー
 
【職人の営業奮戦記】(2)
・・・独立・・・21 



前略失礼いたします。

早速ではございますが本日は御社にご提案がございます。

御社売店で有田焼のアクセサリーを委託販売していただけないでしょうか。

必ず御社のお役に立てると思います。

私の条件といたしましては下記の通りです。


○―――――
○―――――


委託での販売条件は事前に調べていた。

こちらの条件はすべて書いたので、後は相手方に受け入れて頂けるかどうかを確かめなければならない。

そこで、条件の後に次のように書いた。


つきましては、大変勝手ではございますが○月○日の○時○分から○○分間お時間を頂けないでしょうか。

尚、日時につきましては後日お電話にて確認をさせて頂きますのでなにとぞよろしくお願い申し上げます。草々
  


Posted by 青風 at 08:13Comments(0)●職人の営業奮戦記

2011年11月17日

手が汗ばんでいた

ーーー独立30周年を記念して綴っています。ーーー
 
【職人の営業奮戦記】(2)
・・・独立・・・22 



数日後、手紙を出した相手がどのような反応をするか不安と期待の中、電話をかけた。

「陶芸タチカワの立川と申しますが、○○社長さんお願いいたします」

「どのようなご用件でしょうか」

「先日のお手紙の件でとおっしゃって頂ければ、お分かりになると思います」

「少々お待ちください」

数十秒だったのだろうがとても長く感じ、受話器を握る手が汗ばんでいた。

「もしもし○○です」

「始めまして、先日からお手紙で失礼しております、陶芸タチカワの立川と申します」

「はいはい・・・読ませてもらいましたよ」

「ありがとうございます。早速ですが○月○日のご予定はいかがでしょうか」

「その日はちょっと都合がわるいな」

「では次の日はいかがでしょうか」

「次の日だったらなんとかなるよ」

「ありがとうございます。ではお時間は○時でよろしいでしょうか」

「ああ・・いいよ」


何と、いきなり大きなホテルの社長に会えることになった。


ちなみに、“手紙で営業”の本に面会の日にちを決めるときは、先ずこちらから日時を指定し相手の都合を聞いて、その日がだめだったら次の日次の日と相手が根負けするまで提案し続けろとあった。
  


Posted by 青風 at 08:36Comments(0)●職人の営業奮戦記

2011年11月18日

本当の独立を感じた

ーーー独立30周年を記念して綴っています。ーーー
 
【職人の営業奮戦記】(2)
・・・独立・・・23 



約束の日、5分前にフロントに行き「○○社長さんと○時のお約束で参りました。よろしくお願いします」と名刺を差し出した。

最初にこのホテルを訪れた時は身がすくんで玄関も入れなかったが、今回は緊張感はあったもののすんなり入ることができた。

気のせいかフロントの女性も親しみのある笑顔をしていように感じる。

会議室のような部屋に通され少し待たされたが、間もなくドアが開きにこやかな顔をした男性が入ってきた。

私は社長の顔は知らなかったので社長だと思ったが、「間もなく社長が来ますから掛けて待っていてください」と促され椅子に座った。

すぐに社長もにこやかな顔をして「やあーどうも」と気さくに声をかけてくれ、私の緊張はすっと溶けて行った。

二人と名刺交換をし、早速、見本をテーブルの上に広げ説明をしていると「○○君いいだろう」「はい、いいですね」二人の会話が始まり、置く場所の話まで出てきて、私が間に入って話をすることはなないまま、社長が「よし、置こう」といきなり決断された。

私は立ちあがって「ありがとうございます」と深々と頭を下げた。

社長は「後の細かい打合せは○○君としてください」と部屋を去って行った。

要するに私が行った時には担当の係長にすでに話をしていたのだ。

担当係長とすべての打合せを終わり、帰りの車の中でしみじみと“独立したな”と心の奥深くで感じた。

そして、手紙の力を知った。
  


Posted by 青風 at 12:57Comments(0)●職人の営業奮戦記

2011年11月19日

順調で怖いくらい

ーーー独立30周年を記念して綴っています。ーーー
 
【職人の営業奮戦記】(2)
・・・有田焼アクセサリー販売・・・1 



早速納品し次のターゲットを調べ、同じ方法で営業をかけた。

一カ月後には二軒目が決まり、二カ月後には三件目が決まり不思議なくらいうまくいった。

ところが最初に納品したホテルで三か月経っても売り上げが月に数個と伸び悩んでいたので、担当者から「三か月待ったけど売れないじゃないか」とクレームが来た。

ただ、私には売れない理由は分かっていたので慌てることはなかった。

というのは、二軒目三件目は納品したその月から順調に売り上げは上がっていたのだ。

その違いは売り場のスペースの違いだと分析していた。

最初のホテルではスペースがないということで他の三分の一程度しか置いてなかった。

そこで、他の実績を見せ問題はスペースだと説明すると、早速改善してくれて、場所も一番目立ついい場所に変えてくれた。

すると翌月からはそのホテルが一番売れるようになった。

長崎県の平戸を皮切りに、佐賀県唐津市、長崎県佐世保市、福岡市、佐賀県嬉野と次々と決まって売り上げも順調。

大きなホテルを最初に決めて売り上げも順調だったので、四軒目からは“三通の手紙作戦”の必要はなく直接訪問し、取引先と実績を提示したらほとんどの所が置いてくれた。
  


Posted by 青風 at 08:47Comments(0)●職人の営業奮戦記

2011年11月21日

営業より難しい

ーーー独立30周年を記念して綴っています。ーーー
 
【職人の営業奮戦記】(2)
・・・有田焼アクセサリー販売・・・2 



窯元から仕入れて、ホテル旅館に委託で販売という形をとっていたので、今度は資金に困った。

銀行に相談しても、担保も保証人もなしでは全く相手にしてくれない。

実績にしても数カ月では話にならなかった。

独立する際、親には一切迷惑をかけないと約束していたので相談もできない。

営業より難しいように思えた。

とにかく実績。

次に保証人を求められたが、私にしてみれば実績を作るために資金がいるのだ。

やむを得ず一年間の経過の後、友達と義兄に相談し保証人になってもらいやっと資金調達ができた。

販売先はホテル旅館ばかりではなく、有田焼伊万里焼のお土産店や空港にも置いていった。  


Posted by 青風 at 08:34Comments(0)●職人の営業奮戦記

2011年11月22日

独学

ーーー独立30周年を記念して綴っています。ーーー
 
【職人の営業奮戦記】(2)
・・・有田焼アクセサリー販売・・・3 



それと並行して独学で制作の方も取り組み試行錯誤を繰り返していた。

販売で独立したが自分で作りたいという気持ちが内側にあったので、独立して数カ月後にはいきなり小さな窯を買った。

それこそ親は何をやらかすのかと猛反対だったが、親との約束は守っていたので反対されても聞き流して自分の意思を通した。

昼間は営業と農作業、夜は制作で夜中2時3時になることが多かったが苦にはならなかった。

それどころかむしろ楽しくて時間が経つのを忘れていつの間にか夜が明けていることも。

好きなこと楽しいことをやっているとエネルギーが自然に湧いてくる。
  


Posted by 青風 at 08:56Comments(0)●職人の営業奮戦記

2011年11月23日

楽しい苦労

ーーー独立30周年を記念して綴っています。ーーー
 
【職人の営業奮戦記】(2)
・・・有田焼アクセサリー販売・・・4 


独学につきましては以前“独学の薦め”を書いていますのでこちらをお読みいただければ幸いです。販売と農業をしながら陶芸の勉強も独学でしていました。

“独学の薦め”はhttp://seifu.sagafan.jp/c7130.htmlこちらからです。


  


Posted by 青風 at 09:19Comments(0)●職人の営業奮戦記

2011年11月24日

歴史的瞬間

ーーー独立30周年を記念して綴っています。ーーー
 
【職人の営業奮戦記】(2)
・・・有田焼アクセサリー販売・・・5 


独学で焼き始めて1年がたったころから、一部ではあるが販売できるくらいの商品が作れるようになった。

商品を見る目は前に勤めていた有田焼の商社で鍛えられていたので、どれくらいの完成度だったらお客様にお金を頂戴していいかの判断はついた。

しかし、取引先に焼く修業をしていることは言っていなかったので、いきなり「自分で焼いたものですから売ってみてください」とは言いづらく、「これまでとは違った窯元から仕入れてきましたので売ってみてください」と嘘をついて売り始めた。

売店の女性には評判が良く、「いいね。これだったら自分でもほしい」と言ってくれる人もいた。

一つのホテルから置き始めたのだが、なんと、私の作ったものが売れ始めた。

月に2度程度訪問して売れ具合を確かめるので、2週間後には追加が必要になるくらい売れていた。

この時ほど感動したことはない。

自分が作ったものが、お客様に認めてもらった私にとって歴史的瞬間だ。

しかし、嘘をついているので表だって喜ぶわけにはいかず、一人心の中で喜びをかみしめた。  


Posted by 青風 at 09:04Comments(0)●職人の営業奮戦記